USBメモリは、最近、比較的安価になり、そのせいか気軽に、例えば、ポケット等に入れて持ち運ぶことが増えたように感じます。
従って、USBメモリを衣類と共に洗濯する危険性は高まっています。
本稿では、USBメモリを洗濯してしまった場合(水没時)の対応について、読者の皆様と情報を共有したいと思います。

 (1)USBメモリの構造

USBメモリは、メモリチップ、制御チップ等の電子部品が複数実装された小型基板をプラスチック製のケースで覆ったものです。

防水型のUSBメモリも販売されていますが、それは特殊であって、通常のUSBメモリは防水になっていません。

USBメモリの外装のケースは、気密・液密シールされていないので、水は、簡単に内部に浸入(水没)します。

 (2)洗濯機からの取り出し時の洗濯槽内の液体状態

洗濯槽内の液体は、洗濯工程の段階によって異なります。
初期は、洗剤と水が混じり合ったもの、中期は、それらに油脂(汚れ)や他の化学成分が混じり合ったものになり、後期は、すすぎの水が大部分です。

USBメモリに水分以外のものが多く付着していると、乾燥時間が余計に掛かったり、腐敗や腐食がより進行する危険性があります。

場合によっては、そのUSBメモリを水(きれいな水)で洗い流すか、又は、きれいな水の中に浸けてゆっくり動かして、内部に残留・付着するのが水分だけにすることを考えても良いかもしれません。

 (3)取り出し時にやってはいけないこと

USBメモリを乾かさずに、或いは、少しの時間しか乾かさずに、パソコンに挿す(USB接続する)ことは、絶対に止めましょう。

乾いていないうちにUSBメモリに電気が流れると、内部の電子回路がショート(電気的短絡)して、USBメモリに記憶されたデータが最悪破壊されます。

また、USBメモリが接続される相手側の電子機器(例えば、パソコン)に悪影響を及ぼす恐れもあります。

トラブル時に、急いで中身を確認したい気持ちはよく分かりますが、ここはグッとこらえましょう。

 (4)取り出し時にやること

USBメモリの内部を十分に乾燥(水分を蒸発)させることです。

これによって、USBメモリの動きが復活することが大いに期待できます。

そうすれば、USBメモリに記憶されたデータを読み出すことができます。

 (5)乾燥させるには?

ものを乾燥させる要素は、①熱、②風、③湿度と言われています。

①の熱を加える方法の場合、手っ取り早く効果がありそうですが、電子部品に熱を加えるのは厳禁です。

USBメモリに、例えば、ヘアドライヤの温風を当てると、その熱で微細な電子回路が断線やショート(短絡)したり、電子チップが損傷する等の危険性があります。

②の風を当てる方法の場合、電子部品に対して安全で効果的であると言えそうです。

しかしながら、USBメモリはプラスチック製のケースで覆われています。

従って、USB内部を十分に確実に乾燥させるためには、ケースを分解する必要がありそうです。

その一方、自然乾燥・蒸発させる場合、放置する期間は、数日~1週間というオーダーの日数が必要になりそうです。

③の湿度の低い環境下に置く方法の場合、一般家庭では人工的に低湿度の環境を作り出す必要があります。

具体的には、例えば、100円ショップ等で市販されている除湿剤(湿気取り)をUSBメモリと共に、ジッパー付き袋に入れて密封します。

それによって、USBメモリ内部の水分が除湿剤に徐々に吸収され、その分、USBメモリ内部が乾燥します。

除湿剤が無いときは、重曹で代用できそうです。

尚、荒わざとして、微少の穴のあいた袋(袋状のもの、例えば、ストッキング)にUSBメモリを入れて、袋の開いている片側を手で握って、屋外の危なくない場所でそれをグルグル回して、水分を飛ばす(蒸発・乾燥)方法も考えられます。

更に、特殊な方法としては、濃度が99%以上あって水分を殆ど含まない電子部品洗浄剤(無水アルコール)を使用するやり方があります。

USBメモリをこの洗浄剤の中に浸けておくことによって、比較的短期間で内部に残留する水分を実質的に除去できます。

ただし、洗浄剤は、揮発性(引火性)があり非常に危険なので、このやり方を実行するのは止めておきましょう。

(6)まとめ

USBメモリは、水没しても、しっかり乾燥を行うことで、復活が十分に期待できます。

その一方、水濡れしたUSBメモリは、乾燥後であっても、内部の電子部品等の腐食や劣化が進み易く、信頼性が著しく低下します。

従って、USBメモリの復活後にデータ読み出しが完了したら、以降そのUSBメモリは使用しないようにするのが安心・安全です。

以上「USBメモリを洗濯してしまったときの対応」についてでした。