最近、街中や乗り物にスマホ充電用のUSB充電ポートが設けられています。
その設置場所の数は徐々に増えており、スマホのバッテリ切れを心配しなくて済み、また、無料で充電できる場所もあるので、大へん助かります。
しかし、その利便性の反面、セキュリティの面で少々心配があります。
本稿では、この点についての情報を読者の皆様と共有したいと思います。

1.責任の所在

情報窃盗は不可罰であると言われることがあります。

情報そのものが無体物であり、窃盗罪の構成要件要素の「財物」に該当しないと解釈されるからのようです。

この点、情報窃盗を可罰にするための法律として、個人情報保護法、不正アクセス禁止法、不正競争防止法、著作権法等があります。

これらの法律は、個人が保有する私的レベルの小規模情報について、その窃盗を取り締まるものではないようです。

ということで、スマホに記録されている情報(データ)の流出は、自己の責任でしっかりと防止する必要がありそうです。

2.USB充電の危険性

現在、街中やお店、乗り物等に設置されたUSB充電ポートは、それらの殆どが全く問題のない健全で安心な充電設備だと思われます。

しかしながら、或る種のお店でUSB充電を利用したその日から、迷惑メールが急に増えたなどの話を聞いたことがあります。

また、外国(アメリカ)での話ですが、ロサンゼルス郡地方検事事務所が「USB充電器詐欺」というタイトルでUSB充電ステーションでの充電の危険性についてネットで旅行者に注意を喚起しました。

恐らく何か大きな或いは多くの事件が起きたのでしょう。

相場の格言で「アメリカで起きることは将来日本でも起きる」というのがあるようです。

ということで、USB充電について、今後迫り来る危険に対して、個人レベルで何らかの対策を採る必要がありそうです。

3.対策の基本的な考え方

USBケーブルは、一般に、スマホに差し込む小型のコネクタ(マイクロUSB、ライトニング、タイプCの3種類のうちの1つ)を一端に備え、USB充電ポート等に差し込むUSBコネクタ(タイプA)を他端に備えたケーブルです。

USBケーブルは、ひとむかし前は、充電専用のものが主流でしたが、現在は、充電・データ転送の双方が可能なものが主流です。

以下、説明の都合上、充電・データ転送の双方が可能なものを「USBケーブル」、充電専用のものを「USB充電専用ケーブル」と呼びます。

さて、USB充電の際のデータ流出の有効な防止手段は、データ転送(通信)が出来ないようにすることです。

より具体的には、次の通りです。

第1に、USBケーブルを使用しないで、USB充電専用ケーブルを使用する。

第2に、USB充電ポートと、USBコネクタと、の間に、データ転送が出来ないようにする専用デバイスを介在させる。

第3に、USB充電ポートを利用しないで、その代わりに、AC100Vのコンセントから受電する。

4.対策1:USB充電専用ケーブルを使用する

USBケーブルは、ケーブル内に充電用の2本の電線(黒と赤)と通信用の2本の電線(緑と白)の合計4本の電線が通っています。

他方、USB充電専用ケーブルは、ケーブル内に充電用の2本の電線(黒と赤)しか通っていません。

換言すると、USB充電専用ケーブルには、通信用の電線が通っていません。

従って、USB充電専用ケーブルを使用したUSB充電時には、スマホからの情報の流出を防止できそうです。

尚、USB充電専用ケーブルは、100円ショップやコンビニ等で販売されていますので、入手は容易です。

USBケーブルとUSB充電専用ケーブルとの差異は、一般に外観から判断できないようです。

従って、購入時に、後から判別できるように、しるしを付けておくと良いかもしれません。

5.対策2:専用デバイスを介在させる

これはUSBの通信機能をカットするデバイスです。

データ転送/同期を物理的にブロックします。

主としてAmazonから以下のブロックデバイスが入手できます。

 

USB充電時に、USB充電ポートとUSBコネクタとの間に挿入(介在)された場合、両者間のデータ転送(通信)が遮断されます。

従って、上記ブロックデバイスを使用したUSB充電時には、スマホからの情報の流出を防止できそうです。

6.対策3:AC100Vのコンセントから受電する

(1)ACアダプタを使用します。

充電時に、電気は、コンセント→ACアダプタ→USBケーブル→スマホに流れます。

(2)パススルー機能(本体を充電しながらスマホも充電可能)を有する充電器を使用します。

充電時に、電気は、コンセント→充電器→USBケーブル→スマホに流れます。

パススルー機能付きの充電器は、少々お高めではありますが、1度の充電のチャンスに、充電器とスマホの2つの充電が可能であるので、長い目で見れば合理的・経済的かもしれません。

(1)、(2)は共に、コンセントとスマホとの間でデータ転送(通信)を行うことができる構造になっていません。

従って、コンセントを利用したUSB充電時には、スマホからの情報の流出を防止できそうです。

7.対策4:その他のやり方

(1)スマホにセキュリティソフトをインストールし、USB充電時のチェック機能を有効にします。

これによれば、スマホからの情報の流出を防止できそうです。

(2)スマホの電源をOFFにして、USB充電を行います。

完全にOFFができるスマホの場合、USB充電時に、スマホからの情報の流出を防止できそうです。

iPhoneの場合、電源をOFFにしても、USB充電ポートに接続したUSBケーブルを接続すると、自動起動して電源がONになってしまいます(残念)。

8.まとめ

PLC(電力線通信)の研究開発が進められており、AC100Vコンセントも安全とは言えない時代が迫っています。

結局、自分の身は自分で守る、自分の保有する情報は、自分で守るしかありません。

以上、「スマホを街中で安全にUSB充電する方法」についてでした。