PCのストレージ(ハードディスクやSSD)内には、パスワード、クレジットカード情報等々の重要なデータが多数記録されています。
これら個人情報等のデータが第三者、特に悪意のある第三者の手に渡ったら・・・、と考えると恐ろしいですね。
本稿では、意外と大変なPC廃棄時のデータ処分について、皆様と情報を共有したいと思います。
責任の所在:
パソコンを廃棄・譲渡する場合に、パソコンのストレージ(ハードディスク)上に書き込まれたデータについては、これを消去する責任はユーザーにあります。
要は、ユーザーのパソコンから個人情報等のデータが流出した場合、その責任は全てユーザー自身にある(自己責任)ということです。
従って、ストレージ内の重要なデータは、ユーザー自身がその処分(消去)を積極的に行う必要があります。
誤解されていること(1):
①パソコン内の「ゴミ箱」に捨てる・空にする等の削除操作を行うことによって情報流出を阻止できるという誤解!
②ハードディスクをフォーマットし直すことによって情報流出を阻止できるという誤解!
③リカバリーCD・DVDを用いてハードディスクを工場出荷時に戻すことによって情報流出を阻止できるという誤解!
ハードディスク内の記録領域は、管理領域とデータ領域とに分けられます。
上記①~③の操作は、管理領域だけを変更(消去)するものです。
データ領域は、変更(消去)されない、即ち、データ領域のデータはそのまま存続します。
一見すると、データが消去されたようですが、実はそのパソコンで読み出しが単にできなくなっただけです。
従って、専用の復元ソフトや専用のマシンを使うことによって、データ領域からデータが吸い出される危険性(情報の漏洩)があります。
誤解されていること(2):
④パソコンが故障している、または、パソコンを壊すことによって情報流出を阻止できるという誤解!
パソコンが動作しないとかパソコンを壊したとしても、ハードディスクが破壊(データ消去)されていなければ、データが吸い出される危険性があります。
ハードディスクは、プラッタと呼ばれるドーナツ状の記録円板が1~4枚程度重ねて回転するように配置されています。
プラッタは、データが記録される部分ですから、このプラッタを破壊等すれば、データの流出を阻止できます。
裏を返せば、プラッタを破壊(データ消去)しない限り、情報流出を阻止できないということになります。
信頼できる業者にデータ消去を依頼:
廃棄しようとするパソコンの製造メーカーに回収(データ消去を含む)を依頼できれば、それに越したことはありません。
PCリサイクルマークの貼付の有無は、無料/有料の基準になります。
独自に、信頼のおける専門の回収業者を探して、その業者にデータ消去を依頼することができれば、料金は掛かるでしょうが、安心です。
また、家電量販店等で新規のパソコンを購入する際に、古いパソコンを引き取ってもらうこと(データ消去の依頼)ができると簡単かつ安心です。
尚、自治体にもよりますが、基本的にパソコンを収集しないようですし、収集するにしてもデータ消去等を行うことはないようです。
ソフト的なデータ消去:
消去ソフトには、有料のものから無料のものまで沢山あります。
データの消去といっても、データを消去していくことではなく、通常ハードディスクを無意味な固定データで上書き(塗りつぶし)することです。
この上書き処理を複数回やれば、ほぼ完全なデータ消去といえるようです。
そうは言っても、データ消去技術とデータ復元技術は表裏一体であって相互に進歩し続けます。
従って、現時点でソフト的に完全に消去されたデータでも、将来において絶対に復元されないとまでは言えません。
尚、言うまでもないですが、廃棄しようと考えているパソコンが故障している場合、そういう場合が非常に多いとは思いますが、この「ソフト的なデータ消去」の方法は使えません。
ハード的なデータ消去:
手っ取り早くは、ハードディスクを物理的に破壊することによって達成できます。
ハードディスクを破壊する場合、パソコンから取り外すと破壊作業は楽ですが、取り外し作業が面倒で厄介なこともあり、痛し痒しと言ったところです。
ノートパソコンの場合、通常裏側の蓋を外すと、ハードディスクが見えることが多く、必要なビスを緩める等して、取り外すことができます。
デスクトップパソコンの場合もほぼ同様に、側面のカバーを外し、固定金具を外す等してハードディスクを取り外すことができます。
実際に、ハードディスク(プラッタ)を破壊する場合、(1)ハードディスクに大きなショックを数回~十数回程度加える作業、及び/又は、(2)ハードディスクに数ケ所の穴を空ける作業等々が必要になりそうです。
いずれにしても破壊作業は危険ですので、自己の判断で自己責任のもとで実行していただきたいと考えます。
その他の方法:
とりあえず、ハードディスクを取り外して、パソコン本体だけを廃棄することです。
パソコンから取り外したハードディスクは、ペーパーウエイト(?)として使うこともできますし、インテリア?の一部として部屋に置いて、マニアックな味をかもし出すのも良いかもしれません。
そのハードディスクをフォーマットし直して、別のパソコンで使用することもできます。
この場合、データ流出という心配がなくなります。
或いは、そのハードディスクを、テレビ用の外付けハードディスクとして再利用することもできます。
例えば、「HDDケース」と入力してネット検索すると、そういった専用のケースが比較的安価に販売されていることが分かります。
不要になったハードディスクを廃棄する場合には、データ流出を防止する策として、ハードディスクを物理的に破壊する代わりに、ハードディスクを泥水に長期間浸けておくことが簡単かつ効果的です。
ハードディスクは、堅牢な外装で覆われていますので、金属製の蓋とプラスチック製のベースとの合わせ目をこじ広げたり、蓋に穴を開ける等して、内部に泥水が進入し易くします。
このやり方によれば、ハードディスクとしてのダメージは相当なものになります。
こういったハードディスクの泥だらけで錆び付いた外観は、それだけで抑止力が働き、データを読み取ろうとは思わないでしょうし、念のために大きなショックを数回加えておけば更に万全でしょう。
まとめ
パソコン(ハードディスク)を廃棄することが、結構面倒で厄介な作業であることがよく分かりました。
管理人自信も、今まで深く考えずにパソコンを廃棄してきました。
今まで何も問題が起こらなかったのは、単に運が良かっただけかもしれません。
今後は、慎重にパソコン(ハードディスク)を処分していくつもりです。
以上、「パソコンを安全に廃棄する方法」についてでした。